看護師で卒業といえば・・・
今週のお題「卒業」
こんばんは。
突然ですが、看護師という仕事をしていると、あまり季節感等は感じられません。
なぜなら、病院は年がら年中一定温度が保たれており、制服も1年中半袖です。
かろうじて、リハビリテーション病棟に勤めるようになってからは、季節のイベントごとにレクリエーションをやるようになったので、少しはましになりましたが。
さて、そんな看護師が季節問わず『卒業』と感じる場面は、患者さんの退院でしょうか。
卒業って、それが終わりっていうわけではなく、そこからが次のステップへのスタートですよね。
患者さんの退院は、病院から卒業し、何らかの病や生涯を抱えながら始まる生活のスタートとなります。
皆さまは、学校を卒業するとき、「もっとここにいたい」と感じましたか?
それとも、「卒業できてうれしい」と感じましたか?
患者さんの退院も、それと同じで、退院が決まったとき「まだここでお世話になりたい」という方や、「退院決まってうれしい」という方など様々です。
一人、思い出に強く残っている患者さんの話をします。
その方は、脳疾患の後遺症で体の半分が動かなくなり、言葉も話せなくなってしまいました。頭はしっかりしているので、伝えたいことがたくさんあるのに、それが言葉に出せないのです。(失語症というものです。)
その患者さんは、人一倍頑固で、人一倍怒りっぽく、そして人一倍頑張り屋さんでした。
最初は話が通じないことや、自分の体が思い通りに動かないことから、毎日いらだっており、看護への拒否やスタッフへの暴力行為等がある患者さんでした。
そのため、医療スタッフに距離を置かれがちだったのですが、徐々になじんでいき、リハビリも積極的に受けるようになりました。
全然動けなかったその方は、みるみるうちに回復していき、麻痺が残りながらも一人で歩けるようにまでなりました。
そして、言葉もスタッフと協力し、言いたいことが伝えられるように工夫しました。
そのかいあってか、その患者さんは自宅へ退院できるまでに回復しました。
退院する前日、筆者は夜勤でその患者さんを受け持ちました。
その方のところへあいさつに行くと、少し興奮した様子で
「これまでありがとう。」
と、たどたどしい口調でおっしゃってくださいました。
目に涙を浮かべながら。
きっと、退院してから不安なことはたくさんあるでしょう。
しかしそれ以上に努力してきたから、不安な気持ちを差し置いても、退院できることがうれしかったのでしょうね、
それはまさしく、病院からの『卒業』でした。
自宅へ帰っていく患者さんは、泣いて帰っていく人、笑って帰っていく人、本当に人それぞれです。
そんな患者さんの『卒業』に携わることが、看護師をしていての喜びとなり、頑張る活力となります。
そんな患者さんたちに恥じることのない看護を提供できるよう、自分自身も成長していけたらいいなと思います。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。